第30話

「恭子、あの拓実君て…、」


「ん?拓実がどうした?」


「モテる…ね?」



「あー朝生程じゃないけどボチボチ告られてる。なんで?」


「え?あ、何で恭子と付き合わないのかなって。」


バカ…、そんな事を聞きたいんじゃないのに。


「それはないね、アタシさ高校の時に拓実にフラれてんの。」



「え?そうなの!?」


恭子は頷く。


アタシはちょっと信じられなかった。

はたから二人を見ていると拓実君を所有しているのが恭子だと思っていたから。


「アイツはね、外見は緩っぽいんだけど内面はその反対なんだよね…納得しないと動かないしさ、扱いにくいの。」



「そうなんだ……。」



拓実君にはそんな一面があるんだ。

じゃあ、アタシとしたあのキスは?


魔がさした?

それとも……。

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