第27話

係長を乗せた救急車が会社を出ると騒然としていたフロアも落ち着き始める。



「あービックリしたね、はな。ビックリし過ぎてアタマが痛くなってきた薬のんどこ。」


アタシは自分のデスクに戻った。



ふと自分が彼のケイタイを持っている事に気づく。



滝川君は一緒に救急車に乗って大学まで行ったから、ここには居ない。




「あ!それ滝川先生のケイタイじゃない!」

薬を飲み終えた真理が隣のデスクに戻ってきた。




「そうなんだけど・・後で医務室の看護師に渡しておくよ。」



アタシは何気にそれをデスクに置いた。



きっとこのケイタイには女性の連絡先がびっちし入力されてるのだろう。

紛失でもしたら彼の医師免許は剥奪されるんじゃないかと思った。



「ねぇ、真理。電話帳って何件入るのかな?」




「は?ケイタイの・・・ああ、滝川先生の女関係が気になる?」



アタシは思わずケイタイから真理を見る、



「違う違う!滝川先生モテるから登録件数足りるのかなって・・・」



それを聞いた真理が吹き出した。

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