第11話

「次、こそは……」



「どうだか」



「もともと美桜は自分から恋に積極的になれるタイプでもないからね~…」



「一瑚のことに関しては違うけどね。そろそろそのエネルギーを現実に活かしたほうが良いと思う」



「そんなコト言われても……」




身近な男子よりも一瑚が私の中で勝っちゃうんだから仕方ない。




「でもね?私だって、一瑚は遠い存在の人ってわかってるし、きっともっともっと好きになれる人が現れたら私だって……」



その時は、迷わずに現実の恋人を選べると思ってる。



思ってるけど、



ただ、やっぱり今の私にとって一番はアイドルの一瑚なんだ。




「とりあえずさ、彩子も菜穂も飲もっ」



「飲もうって張り切ってるけど、美桜、カルーアミルクしか飲めないじゃん」



「そうだけど……ほら、やっぱり原因はどうであれフラれるのって凹むし……こういう時はアルコールだよね??」



「でも、美桜、お酒弱いし、直ぐ寝ちゃうし……そろそろ帰ろうよ」




二十歳になったことだし、私は失恋の凹みをアルコールの力でふっとばしたい気分だけど、彩子と菜穂はイマイチ乗り気じゃない。

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