彼の好きな彼女
第32話
……て、どの口が言ったんだろう。
「あー……、消えて無くなりたい。」
目覚めて発した言葉がそれだった。
アタシはベッドの上でただ天井を見つめていた。
二日酔いで動けないせいでもあったのだけど。
想像以上に酔っていたんだと今分かる。
いっそのこと夕べの記憶も酔いに任せて忘れていたら良かったのに……。
若月君との会話をしっかり覚えていた。
アタシは何気に左手首に触れた。
昨日彼に不意に掴まれた。
心臓が飛び上がりそうだった。
だって若月君との一週間の出来事の中に彼と手を繋いだり、ましてや抱き合うとかなんて皆無だったし。
お互いの体温なんて知らないままアタシ達は離れたから……、
アタシはひとつ溜息をつくと身体を起こす。
若月君に過去だと言ったアタシが、
実は一番彼に拘っていると分かってしまった。
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