第36話

「……なんなの、その話。偶然にしてはでき過ぎじゃない。」

涼子はワインを飲み干すとグラスをテーブルに置いた。


「塚原さんどうして担当に抜擢された時断らなかったんですか?過去に振られた相手と仕事なんて俺は無理ですよ。」


「だって……断れなかった、」

「嘘よ、もう一度彼に会いたかったんでしょ。」

「……否定はしない。だけどせっかく抜擢されたチャンスも逃したくなかったのは本当よ。」


自分の前に2杯目の注文したワインが置かれると私は直ぐに一口飲んだ。

2人に話したせいか凄く喉が乾いていた。


「でも塚原さんが担当になるって一応先方、千秋朔の所にも情報が行ったわけですよね。同級生だった塚原さんだと直ぐに分かったはずだと思いますけどね。」


「確かにそうね、お互い分かっていて会うなんてなんだかやらしい。」


涼子はそう言ってタッチパネルのメニューに触れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る