第34話

「え、塚……、った、」

私は槇村君の袖の上から少し抓る。

お願い、話を合わせて!!勘を働かせて!!

心で叫ぶ。


「……彼氏?」

疑うような千秋君の声がする。


「あ、ああ、ねながお世話になってますっ。僕は彼女と同じチームの槇村と言います。」


ありがとう、槇村君!

全身から汗が吹き出そうだ。


「そうなんだ、本当に彼氏いたんだ。」


「千秋君に嘘つく必要ないし……、」

私は彼と視線を合わせることができなかった。

だって見られているから。

探られていると思った。ここで視線を合わすと嘘がバレそうな気がした。



「随分好みが変わったんだね。俺の事好きだったくせに。」

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