第31話

「ねな、千秋朔と何話してたのー?女性スタッフが色めきたってたよ。」

フロアに戻ると涼子が好奇心の目で私を見る。


「何も……仕事の話だけ。」

「仕事の話?それなら電話1本で済むことじゃないの?」

「近くまで来たから、て言ってたから。」


「ねなに会いに来た、とかは?」


「まさか、やめてよ。」

私は自分のデスクに座るとため息をついた。


「ねなさ、まさか好きになったりしてないよね?」


涼子のいきなりの核心めいた言葉に少し動揺する。


「まさか。」


「それならいいけど、恋愛沙汰になって上手くいけば良いわよ?でも拗れて進行中の仕事がパーになる場合は、」


分かってる。


「ねなのクビが飛ぶ現実しかないんだからね。」

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