30・結果は…

第30話

誰かに着いて来て貰えば良かった?

周りの人達は旦那さんらしき人も着いて来ていており心強そうに見える。

一人で心臓がバクバク言ってる。

もし、赤ちゃんが“ココ”に居たら?

一人で産む事が出来るの?私…。


「沢井さん。沢井さーん?」


グルグル考えがまわっている。

もう27歳だから産んでもよい時期だと思うし、親は離婚したの知らないから「孫」って急かすし…。


「沢井さん?診察ですよ?」

「あっ、はい。すいません」


呼ばれてたの全然分からなかった。

テンパってる…看護師さんにバレバレよね。


「大丈夫ですよ。さぁ、行きましょう」

「あっ、はい…」


手が小刻みに震えていてそれを見た看護師さんが握ってくれたから少し安心した。


「沢井 華さんですね。診察始めましょうか」

「はい、よろしくお願いします」


女は度胸よ!

これで赤ちゃんがお腹に居たら産もう!!




「華!華!」

「あっ、部…」

「病院まで行くって行っただろ!何で待ってなかった!焦ったぞ!」

「…ごめんなさい」


私、いつの間にか人混みに紛れて歩いていて後ろから佳彦に声をかけられた。


「華、ゆっくり出来る所に行こう」

「……」


肩を掴まれて佳彦の匂いが現実に戻して行く。


「…ただの体調不良・・・・だって」


そう言ってる自分に悲しくなる。

赤ちゃんが居るかと思った。

佳彦との赤ちゃん。


「そうか」

「佳彦…ごめんね」


佳彦と離婚・・してるから言ってる事は矛盾してるけど謝らずにはいられなかった。


「ごめんなさい。私…赤ちゃん居なくて良かったって思わないとね」

「お前はバカか!俺とお前の子供なら可愛いに決まってんだろ!」


その言葉は期待していいの?

離婚してるけど元旦那・・・の佳彦だけど

赤ちゃんを望んでいいの?


「佳彦、ごめんなさい。そして、ありがとう」

「いいから少し黙って歩け」

「はい…」


怒られてるのに嬉しい。

ゆっくり出来る所はいつもの店主マスターの所にした。




「いつもの持ってくるよ」

「ありがとう、店主マスター


佳彦と向かい合わせに座った。

沈黙が流れるけどそれを先に破ったのは佳彦だった。


「俺とまたイチャするか?」

「なっ!冗談でも笑えない!!…でもありがとう……」


佳彦なりの元気付け。


「ストレスで悪阻みたいな症状が出るなんて…」


人間の体って不思議ね…。

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