28・質問攻めです

第28話

「では、沢井。初めてくれ」

「はい」


第三会議室に移動してメンバー全員揃って今日はプレゼンをする番になった。


「沢井華です。私の考えるプレゼンを発表します」


この日の為に考えて考えて来た。

朝倉さんに押し付けられた書類(根に持つけどね)をこなしながら自分の事もしながら今日までやって来た。


「KYA会社様に不利益が出ない仕組みとなってます」


佳彦をチラッと見たら頷いていたから少しは良いのだと思うから続けると突然手が挙がった。


「!!」

「高畑?どうした」

「質問して良いですか?」


高畑さんが何か不思議に思ったらしく質問を投げかける。


「最後にまとめて質問を受け付ける」

「それだとその後の事がイマイチと言うか分からなくなりますが…」

「どうぞ、高畑さん」


何を言われるか分からないけど質問をしてくれるのだ。

ここで答えないと他にも答えられない。


「KYA会社に不利益が出ないと言いました。どの位でウチの利益が上昇すると?」

「今のままではウチの方も赤字になります。KYA会社のノウハウを掴んで結合していけば最短で一年で出ると思います」

「一年?そんなに待ってられると?」

「…それは…」


一年待ってられないかもしれないけど技術が浸透するのを考えれば一年が妥当な気もするけど…。


「なら、一年後赤字になったらどう黒字に転換すると?」

「それは…」


そこまで考えてなかった。


「そこまで考えてプレゼンをする覚悟が無いならプレゼンしないでくれる?」

「…すいません」


何も言い返せずに高畑さんに謝りプレゼンはそれ以上続けられずに椅子に座った。


「沢井、練り直して再度プレゼン」

「…はい」


練り直してプレゼンする私にそこまで度胸は無いよ。


(良かったよ。華ちゃん)

(野山さん、ありがとうございます)


野山さんに励まされて情けない自分。

一番下っ端だからどの先輩より良いプレゼンをしないといけないのに…。




「はい、華ちゃん」

「ありがとうございます」


会議が終わり私は野山さんに珈琲を誘われて飲んでる。


「プレゼン、良い所まで突いていたんだけどね」

「そうですか?ありがとうございます」


高畑さんにあそこまで質問攻めされるとは思わなかった。

野山さんに貰った珈琲はいつもより苦い味がした。

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