26・長年の癖で…
第26話
「それでねー」
「そうか…」
「……」
昨日の二人の電話の会話に付いていけなくて黙って通勤途中の道を二人の後ろを歩いている。
高畑さんは佳彦の隣で佳彦はちらちらと見てる。
「沢井さん、次の資料集めておいてくれるか?」
「あっ、はい。部長」
「佳彦、それでね…」
「
また
名前で呼ばないんじゃなかったの?
「……」
元妻の言葉なんて数日で忘れちゃうものよね。
「野…高畑、会議室は何処が空いてるか確認してくれるか?」
「分かりましたわ。部長」
会社に着いて空室の会議室の確認の為、佳彦の側を離れる高畑さん。
「中居部長と高畑さん、似合っていたね」
「本当ねー。二人付き合ってないんでしょ?」
「お似合いなのに」
佳彦と高畑さんはお似合いだと思う。
元妻として、今現在も好きな男性の事言われて気分は良くない。
「沢井、気分が悪いのか?」
「
大丈夫じゃない事は自分でも分かっていたけど
大丈夫…というしかない。
「沢井、医務室行こう」
「えっ?部長!」
部長に手を引かれて医務室に向かった。
「誰も居ないのか」
「部長、大丈夫ですから。朝礼に遅刻します」
「朝礼まで時間ある。少し休め」
私をベットに促す部長にそんな優しさは要らないと思った。
「部長は部下に優しいですね」
「沢井?」
「…高畑さんとよりを戻す為、イチャイチャしてるんでしょ?」
「…沢井?何を言ってる?」
止まらないよ。
言葉が止まらない。
こんな事言いたい訳じゃない。
「私の言葉…無視して!!」
「
「高畑さんの事を
「華…」
「嘘つき!佳彦の嘘つき!!佳彦なんて…」
涙が溢れて止まらなかった。
こんな元妻にこんな事言われたって困るに決まってる。
「華、ごめん。ごめんよ」
「佳彦…」
だからこれは私の嫉妬だ。
「つい、高畑を
「……っ」
長年、佳彦の側に居た高畑さんの証。
「ごめんなさい。元妻にそんな事言われて困るわよね…」
「華、俺の方こそごめん」
佳彦が謝る事なんて一つもないわ。
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