25・隣にべったりと…

第25話

好きな匂いがダメになるなんてどうしちゃったの?私の体…。


「華、大丈夫だから」

「佳…彦」


気付かないうちに震えてる自分がその場にいたから佳彦が優しく抱きしめてくれた。


「華、たまに気持ち悪くなってるだろ?病院に行け」


佳彦の優しさは私に向けられたものだけど元妻を心配せざるおえない事に胸が痛む。


「会議があるでしょ?それに出てから半休貰って行くわ」

「そうしろ。俺が半休取っておくから」

「うん、ありがとう。何でもないと思うけど」


佳彦の腕からすり抜けようとしたらキツく抱きしめられた。


「佳彦…!?」

「華、何かあったらすぐ言うんだぞ!一番に駆けつけるから」

「ありがとう。大丈夫だから」


佳彦の優しさに心が痛む。

大丈夫・・・だから…なんて強がり。


「ホットケーキ、食べれるか?」

「今、治ったから今の内に食べるわ」


椅子に座ってホットケーキを頬張るけど再び気持ち悪いのが襲って来たから断念した。


「ごめんなさい。食べれそうに無いから何か買うわ」

「分かった。その方が良いかもな…」

「はい…」


佳彦が何処となく寂しそうに見えたのは私の気のせい。

これ以上迷惑かけれない。

佳彦の優しさをこれ以上受け取っちゃいけない。


「佳…部長、もう出ます。部長はゆっくり」

「俺も行くよ。一緒に出れば良いだろ?」

「えっ?一緒に??」


元夫婦・・・が一緒に出勤するなんて。

誰に何を言われるか分からないから心臓がバクバクする。


「佳…部長!」

「堂々としてれば良いだろ?」


素早く私の頬にキスをして玄関を出た。


「これ以上私に触るの禁止です!元妻・・ですよ?離婚・・してるんですから!」

「俺は俺の道を貫くから」

「えっ?それって…どう言う意味?」


慌てて追いかけたら佳彦が立ち止まったから次の言葉を聞こうとしたら聞けなかった。


「コンビニ、着いたぞ?買ってこい。待ってる」

「あっ!はい…」


はぐらかされてしまった。

食べれそうな物を選んで会計して外に出て足が止まった。


「もぉー!覚えてないの?会話したのに」

「酔っていたんだよ。覚えてる訳ないだろ?」


二人の独特の雰囲気に入れない。


「あらっ。おはよう、沢井さん」

「おはようございます。高畑さん」


高畑さんが佳彦の隣にべったりとくっついてる。

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