2・初めての出会い

第2話

「お義母様とお姉様のお買い物はこれだけかしら?」


あの後、床を拭き数少ない服に着替えて街中に出ていた。


「…帽子屋さん…」


帽子屋だけが見つからなかった。

もう、両手に荷物が沢山あってこれ以上持てるか心配になった。


「でも、買ってこないと怒られてしまうわ」


ランティスは、キョロキョロしてあっち行ってこっちに行っては肩を落としていた。


「帽子屋何処にあるの?」


時間だけが無情に過ぎて行く。

もう、帽子屋が見つからなかったと言おうか迷っていた時に声をかけられた。


「レディ?何かお探しかな?」

「あっ、ええっと…」


両手に大荷物を持って髪の毛は乱れているだろう自分の姿に声をかけてくれた男性の前で恥ずかしくなった。


「レディ?」

「あっ、大丈夫ですっ」


男性の髪は黒髪で容姿端麗な姿でランティスに声をかけていた。


「大丈夫じゃないよね?その荷物。さっきから見ていたけど…」

「えっ?見苦しいモノを申し訳ありません」

「レディが謝る事じゃ無いと思うけど?」


ランティスは慌てて謝ったけど男性は笑った。


「レディ、君の名は?」

「えっ?えっー…と…」


知らない男性に“名”を名乗るを躊躇った。


「そうだね。俺の名前は“リン”」


男性は、“リン”と名乗ったのでランティスは

笑って答える。


「ランティスです」

「ランティス。可愛い名前だね」


初めて可愛い名前と言われてランティスは顔が

真っ赤になった気がした。


「ああっ、本当に可愛い」


リンがランティスに触れようとした時に

ランティスの手の中に紙を握ってるのが見えた。


「ランティス?さっきから何を探してるの?」

「えっ?帽子屋さんよ。これで買い物が終わるのだけど」

「帽子屋?それならこっちだよ」


リンがランティスの手を引っ張って帽子屋の場所まで連れて行ってくれた。


「リンさん、手を…」

「“さん”は要らないよ。手は良いだろ?」


リンに連れて行かれていき帽子屋を見つけた。


「ここにあったのね!」

「この辺は俺の庭みたいな感じだから」

「?」


リンが何を言ってるか分からなかったけど無事

見つけられた。


「ありがとうございました。リン」

「いいよ。じゃあね、ランティス」


リンは人混みに消えて行った。


「不思議な人…」


怒られずに済んで買い物が出来て安心しました。

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