30・雅之の秘書登場

第31話

どの位、時間が経ったのだろうか。


「……」


涙はとめどなく流れていき明日腫れるな…と思いながらも鼻水が垂れる。


「はぁー…1人で良かった…」


そう思ったのに玄関の音がして慌てて涙をぬぐう。


「次期社長、こちらで宜しいでしょうか?」

「えっ?雅之?!」


慌てて扉を開けたら雅之と綺麗な女の人が居て女の人に肩を組まれていた。

久しぶりに雅之の顔を見た。


「奥様ですね。居てくださって助かります。

次期社長を寝かしたいので寝室はどちらでしょうか?」

「!!。こちらです」


慌てて我に帰って女性と雅之を寝室に案内して

雅之を一緒に支えてベットに寝かせる。


「ありがとうございました」

「連日の会食・会合で疲労困憊ひろうこんぱいしておりましたのに、真弥と恭一の所に帰るって言って聞かなくてですね」


その女性は私を見る。


「次期社長が自慢していた通りの可愛いらしい

お方です」


雅之、こんな美人女性になんて説明してるのよ!

目が覚めたら文句の一つでも言わなくちゃ!!


「あっ、こんな所でなんなんですからお茶でも」

「じゃあ、頂きます」


雅之に布団をかけて部屋から出た。


「奥様、誰か来ていたのですか?」

「あっ!!ごめんなさいっ!私ったら」


慌てて湯呑みを片付ける。

湯呑みの事で小切手と誓約書が置いてあるのは忘れていた。


「えっーと…なんてお呼びしたらよろしいでしょうか?」

「申し遅れました。次期社長の秘書をしております。宮城みやぎと申します」

真弥まやです。奥様呼びより名前で呼んで下さい」

「分かりました。名前で呼ばさせて頂きます」


お互い自己紹介をして宮城さんは座って私はお茶の用意をした。


「真弥さん」

「はい。宮城さん?」

「これは何でしょうか?」

「これ?」


テーブルにそのまま置いてある書類に血の気が引いた。


「これは…えっと…」


言ったらダメなパターンな気がする。


「誰からこんな書類を?……社長ですね!!」

「!!」


速攻、バレたー!!

さすが、雅之の美人秘書さんです!!

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