27・帰る場所はココ
第28話
「では、その様に」
「そうですね」
連日の会食・商談でまともに家に帰れない。
愛羅も客の相手をして父さんはその姿を見て言ってきた。
「
「父さん、俺は愛羅と結婚なんかしないと何度も言ってる。会食も商談も父さんの言う通りにこなしてる」
次期社長になるのだからと言われて自分の心を殺してでもこなしてる。
「自分の嫁は自分で決める!それだけは絶対譲れない」
「そう言って、お前は連れて来ないじゃないか」
「彼女は忙しいんだ」
彼女は育児に仕事にと忙しい。
そんな彼女を連れてくるってなったら彼女に更に負担がかかる。
「………」
俺はフッと我慢出来ずに家にほんの数秒帰った事を思い出した。
真弥と恭一が寝てる部屋の扉を開けると2人とも寝ていて可愛らしかった。
〔恭一、真弥…〕
〔んっー?雅之…〕
ベットサイドに座って真弥の髪の毛を触ると真弥が居てくれると実感出来て夢の中でも俺を見てくれているのだろうかと思ったら嬉しくなる。
〔真弥、愛してるよ〕
真弥の頬に手の甲にキスをして立ち上がって部屋を出る。
「……雅之、早目に連れてきなさい」
「どうせ反対すんだろ?」
「当たり前だ!」
反対するのは目に見えている。
だから真弥が傷付くのは見たくない。
「母さんが承知したら認めてくれよ!」
「……分かった」
父さんは母さんなら頭が上がらない。
だから頼むなら母さんだけども母さんが首を横に振るなら俺は家を出よう。
真弥と恭一と3人で暮らしていけば良い事。
「恭一も真弥も離すつもりはないからな」
俺だけが恋しいと思ってるかもしれないな。
俺だけが真弥を欲しいと願ってるのかもしれないな…と自分の手を見ながらワインを飲み干した。
「雅之、佐山様が待ってるわよ?」
「今、行く」
次の商談をこなす為にワイングラスをボーイに渡して次の商談相手の方に向かう。
俺の戦場はココ。
帰る場所は真弥と恭一が寝て待っている場所。
〔雅之、美味しい?〕
真弥、早く真弥の手作り料理が食べたいよ。
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