第30話

その時、ふと優也が向かおうとしている先に疑問を感じた


優也の家は私と同じ方向のはずだ


…なのに来た道を戻ろうとしている


それでは逆方向になってしまうのではないだろうか?


「……えっ!?優也の家ってこっちだよね!?」


私は優也が向かおうとしている方とは逆の方を指差して言った



すると優也は、ビー玉の瞳を細めて笑いながら言った


「…あぁ、ごめんね。聖歌と帰りたくて嘘ついちゃった。……本当は俺ん家もあっち」


そう言って、さっき来た道、つまり皆が行った方の道を指差した


「…おやすみ、聖歌」






そう言って、優也はさっき来た道を戻っていった―――…

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