第22話
静雄が煙草を吸うところを見たのは初めてだった。静雄は十二歳のときから煙草を吸い、十五歳のときから酒を飲んでいる。妙な匂いの元はそれなのだ。百年前のものと違い、酒も煙草も大して有害ではない。依存する物質も入っていないという。けれど、静雄は依存している。精神的に依存しているのだと、あるとき彼の両親はひっそりとした声でわたしに言った。
静雄はわたしが彼を見ていることに気づくと、体を森に向けた。黄薔薇には見せるのにわたしには見せない。不満だった。
*
両親の情事も、わたしと静雄の穏やかな交流も、リアルタイムで見られている。わたしたちを管理している会社は、視聴者やスポンサーの要望に合わせて何かをここに加える。それらがやってくるのは、わたしたちが麻酔剤で眠らされている夜だ。黄薔薇の種もそうやって静雄の部屋に置かれたのだろう。静雄の酒と煙草は彼の両親のために持ち込まれ、結果彼が消費することになった。こちらの困惑などお構いなしに、様々な物が届けられる。
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