第17話
スラブ民族向けチャンネルには、金髪の、髪を編みこんだ美しい少女が映し出されていた。わたしは先程偶然このチャンネルのこの少女を見つけたのだが、吸い込まれるように見つめてしまった。形のきれいな頭に、広い額、大きな目、尖った鼻、うねった唇。何もかもが美しかった。
彼女は、懸命に走っていた。家の中を。多分、ロシアの伝統的な高級建築物なのだろう。赤い絨毯が目に焼きついた。カメラが彼女に遅れだす。彼女が目指すものを映すためだ。彼女の走っていく先には背の高い、淡い茶髪の少年がいた。彼女を驚いたように見つめている。
彼のところに行くと、彼女は彼の両腕を握り、ヒステリックにわめきだした。わたしには理解できない言葉で。そしてしきりに後ろを指差し、カメラを目で追うような目つきをし、最後に悲しそうに顔を手で覆った。
少年は彼女に触れ、腕を背中に回した。なだめるように何か言っている。次第に彼女は安心したようになり、彼の抱擁に身を任せた。
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