第16話
わたしは自分の部屋にいた。ベッドと、使うことのない大理石の暖炉と、怪盗ものの小説に出てきそうなナポレオン時代風のマホガニー製の机と椅子と、テーブルとソファーがある。机の上には常にリングへと情報を送っている四角く小さな銀色のコンピュータがあり、わたしはその前で椅子に腰かけ、ひたすらリングから出てきたスラブ民族向けチャンネルの映像を見ている。
わたしたちは自由にテレビ番組を観、インターネットができる。だから自分を追うカメラが映し出す自分の映像を観ることもできれば、自分たちが映し出されているチャンネルの公式サイトも見ることができる。
インターネットが個人認証制になった今も、昔と変わらず人々は口さがない。わたしには関係のない掲示板をちらりと見ただけでも顔を背けたくなるほどだ。わたしは醜いからすさまじいことを言われていると思う。
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