第36話

「私ね、大学受験で失敗したの。数学科、受かってたんだけど、どうしても物理学科が良くて浪人したら、統合失調症、発症しちゃったの。欲張ったせいね。それで、夢や希望、友人も失ったの。かなり、落ち込んだわ。でも、さっき平井君が彼氏ですって言ってくれて、嬉しかった。」

「彼氏だよね!?」

「うっうん。」

「良かったあ。」

「わっ私も良かった、、、です。」

「健常者の奴らって、中には分かってない奴もいる。そういう奴らは、ほっとけ。」

「うん。そうだね。」

「それに咲の夢や希望、俺が穴埋めしてもいいかな?」

「嬉しい!」

「おいで。咲。横になろう。」

「うっうん。」


「咲は、頭良すぎたんだよ。」

「そんなことないよ。それより、平井君の腕って筋肉で硬い。枕に、、、調度いい、、、。」

「そりゃ、暴れる患者、おさえなきゃならんからな。」


咲は、いつの間にか泣き疲れたのか、ぐっすり寝てしまった。平井秀知は、咲をずっと見ていた。


「やだっ。もうこんな時間!?」

「いびき、かいてたよ。」

「うそっ!」

「本当。咲のいびきは、慣れっこ。」

「ひどいっ!」


チュッ。

軽いキス。

「バッバカ!」


平井秀知は舌を出した。


「けぇーるか。」

「うん。」

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