第32話

南西病院。


「ご機嫌いいじゃねーか。平井さん!」

「べっつに!倉藤さん!」


「平井君!」

「杉澤さん、鈴山さん。」

「私達、付き合ってるの!」

「おめでとう。鈴山さん、幸せにしろよ!」

「はい。」

「平井君!大好き!」

「そう言うことは言わないの!」


いいよな。患者さん同士は、どうどうと言えて。俺も言いたい。咲が俺の彼女だって。


「杉澤さん、鈴山さんより、先に入院して来たから、そろそろ退院じゃない?」

「そうなんだよね。」

「良かったな。鈴山さん、面会してくれる彼女が出来て。」


鈴山明人は照れている。闇から救ってくれた大事な杉澤さん。


「僕、治療頑張って、杉澤さんのこと必ず幸せにします!」

「頑張って下さいね。」


杉澤洋子は、退院した。そして、たまに面会に来る。上手く言ってるようだ。


「平井さん。」

「退院したら、杉澤さんと結婚します。」

「おめでとう。鈴山さんもそろそろ退院だね。」

「はい。」

「もう飲むなよ!」

「神に誓って、飲みません!」

俺も結婚したい。おめでとうと言う立場じゃなくて、おめでとうと言われたい。でも、それは叶わぬ夢。咲とのことは、秘密だから、、、。


鈴山明人は退院した。

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