第15話

急性期病棟。

「師長。」

「戻ってきてくれたのね。助かるわ。」

「ありがとうございます。」


「お帰り!平井さん!」

「倉藤さん!」

「寂しかったぜっ。」

「俺も。ところで、斉藤さん何で辞めたの?」

「ああ。患者さんが心筋梗塞で、亡くなってね、斉藤さんが職務怠慢してなかったら、助かってたかもしれないんだって。それで首。」

「そんなことが、、、。」

「うん、、、。」

斉藤さん、、、。


平井秀知は、通常通り、日々看護業務にあたる。


「好き!抱きしめたい!」

「ダメです。」

彼女の名前は杉澤洋子(すぎさわようこ)。パーソナリティ障害。いつもの手で断ったのに、なかなか諦めてくれない。

「平井君、彼女いるの?」

「いないよ。」

「じゃあ、いいじゃん!」

「ダメです!」

石田さんじゃなくて良かった。石田さんだったら、仕事にならん。

そろそろ石田さんが入院してくる頃だ。楽しみにしてはいけないんだけど、楽しみにしてしまう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る