第12話

翌日。

老人専門病棟。


「あら~。新しい看護師さん。美人ね。」

「こらっ!アヤさん!男性に向かって美人はないでしょ!」

「いいですよ。主任。」

「ほらっ!いいですって!」

「アヤさん!」


平井秀知は、老人専門病棟でも優しく働く。


2ヶ月後。

ナースコールが何度もなる。

「またアヤさんね。」

「僕が行きます。主任。」

「頼んだわ。平井さん。」


「どうしたの?アヤちゃん。」

「独りぼっち、、、。」

「一緒にナースステーション行きましょうか。」

「、、、。」

「車椅子に乗せるね。」


平井秀知は、アヤお婆ちゃんと一緒にナースステーションへと向かった。


「はい。アヤちゃん。どら焼き。」

「ありがとう。」

アヤお婆ちゃんは、嬉しそうにどら焼きを手に握りしめてた。

「美人さん。好きな人いるかい?」

「いるよ。」

「恋が実るといいね。」

「そうですね。」

「切なそうじゃないかい。」

「そんなことないよ。」

「そうかい?」

「そうだよ。安心して。」

「なら、いいけど。美人さん。」


いけない。仕事中なのに、顔に出てしまったのか。集中、集中。


交代時間。


「お疲れ様です。お先に失礼します。アヤちゃんお願いします。」 

「はーい。お疲れ様です。」

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