第六話 嵐
第31話
真咲様の様子がおかしい。
元来真面目で真直ぐなお方だが、悩みや隠し事がある時だけ、妙に私に懐いてくる。
悩ましい姿にまんまと捕えられてしまう私も私だが、最近はその頻度が増えている。
忘れたい事でもあるのか、聞いても答えはない。
どうも外部と文のやり取りをしているようで、気に掛かる。
おそらく、御台様に関係する話なのだろう。
乱された着物を直しながら「御台様のお目覚めの時間や」と、物憂げに起き上がる真咲様。
しどけない姿で髪を整える姿から、無理矢理目をそらし
「私がしますから、ゆっくり支度して下さい」
そう言い残し部屋を出た。
ひどく虚しくて涙が出そうになる。
真咲とこうなりたかった、でも思っていたのと全然違う。
真咲の愛情のようなものは全く感じられないのに、身体だけは簡単に繋がれてしまう。
想像していたよりずっとずっと綺麗で、更に愛しく思うりおとは反対に、身体を合わせる程遠くなる真咲。
涙をこらえ、中庭から見える小さな空を睨む。
自分より年齢も上で、瀬奈様や他にも経験がありそうな真咲。
手に入れたつもりになっていたけど、いまはただ繋ぎ止めたくて、不安でたまらなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます