第六話 嵐

第31話

真咲様の様子がおかしい。


元来真面目で真直ぐなお方だが、悩みや隠し事がある時だけ、妙に私に懐いてくる。


悩ましい姿にまんまと捕えられてしまう私も私だが、最近はその頻度が増えている。

忘れたい事でもあるのか、聞いても答えはない。


どうも外部と文のやり取りをしているようで、気に掛かる。

おそらく、御台様に関係する話なのだろう。


乱された着物を直しながら「御台様のお目覚めの時間や」と、物憂げに起き上がる真咲様。

しどけない姿で髪を整える姿から、無理矢理目をそらし


「私がしますから、ゆっくり支度して下さい」


そう言い残し部屋を出た。


ひどく虚しくて涙が出そうになる。

真咲とこうなりたかった、でも思っていたのと全然違う。


真咲の愛情のようなものは全く感じられないのに、身体だけは簡単に繋がれてしまう。


想像していたよりずっとずっと綺麗で、更に愛しく思うりおとは反対に、身体を合わせる程遠くなる真咲。


涙をこらえ、中庭から見える小さな空を睨む。

自分より年齢も上で、瀬奈様や他にも経験がありそうな真咲。


手に入れたつもりになっていたけど、いまはただ繋ぎ止めたくて、不安でたまらなかった。

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