甘えるなんて以ての外です

第18話

放課後、芹菜ちゃんとは別れて私は部活動に向かう。ちなみに所属している部活は手芸部。頭は本当に悪いけど、そういう細かい作業は好きで迷わず手芸部に入部した。



驚きかもしれないが、とりあえず麓高校にも部活動というのは存在する。……ほぼ、幽霊部員だということは黙っておこうと思う。まあ、こんな不良だらけで部活動が活発だったら驚きだよね。私の所属している手芸部もほぼ女子が活動しているだけだ。……名前だけなら、ざっと50人は存在する。



ほら、手芸部って週1の活動だから、入りやすいんだよね。週1なのに来ないのもどうかと思うけど、部活の雰囲気悪くしてほしくないから、ある意味助かってるよね。



私は今から楽しめる部活動にスキップする勢いで向かい、教室のドアを開けて――――…驚愕した。









いつもは10人くらいいる先輩方や女の子達に変わって、何故かど真ん中に座っている乱さんと端っこで寝ているタダアイ、そして教卓に座っているバンドウアオがいたからだ。




何故だ、何がどうなっている。



……ああ!私が教室を間違えたのか!それしかない!教室から出て、プレートを見るが間違いなく、家庭科室になっている。目を擦る。見る。間違っていない。もう一度、目を擦る。見る。間違っていない。目を擦る。見る。間違っていない。



「……スズ、可愛いことしてるな」



「あれが可愛く見えんのか?流石、兄馬鹿だな。やってらんね」



「スズの可愛さは俺が分かっていればいい!」



「……そうかよ」



諦めたバンドウアオさんは深く溜息を吐いて、我関せずな態度で窓の外を見つめ始めた。……あのぉ、それよりも先にこの状況を説明してくれないでしょうか?どうして部活動がある日に、誰もいなくて、あなた達が部室を陣取っているのでしょうか?

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