第14話
宣言通り保健室に行くことはなく、私は1階の空き教室に入り込む。ここは入学式の次の日には見つけた誰も入って来ない場所。
不良が多い高校で誰も使っていない場所があるなんてちょっと驚いたけど、誰かが使っている様子もないし、ここは落ち着いてサボれる場所でもあった。……まあ、こんなことしているから、頭悪いんだろうけどね。分かってるんだ、自分でも。でも―――…1人でいたい時があった。無性に。
私は少し埃っぽい机の上に座って、床につかない足をぶらぶらとさせる。
お父さんが再婚したとすると、郁世さんはどうするんだろうなぁ?お父さんと一緒に海外に行っちゃうのかな?そしたら家には私と乱さん2人に―――…ぶらぶらさせていた足を止める。
待てよ、いや、待て。今、物凄い重大なことに気付いた。まさかだとは思うけど、あの家で私と乱さん2人になってしまうとかそんなことはないよね?……いや、ないないない。あるわけない。だって、血の繋がっていない私と乱さんが2人だよ?しかも高校生。そんなことがあるわけ……。
でも、一抹の不安にかられた。まさかだとは思ってる。だけど、ここで確認しておかないと済まない。私は携帯を探すけど、教室に置き忘れていたことに気付いて、やっぱり戻ることにした。……ああ、これがただの杞憂で終わりますように。
空き教室のドアを開ける。廊下に出ようと思って顔を上げたその時だ。
「……ぁ」
「……スズ」
―――…乱さんに見つかってしまった。
しかも乱さんだけじゃない。後ろには先程、芹菜ちゃんに紹介してもらったバンドウアオとタダアイがいたのだ。卒倒してもおかしくはない。立っているだけで褒めて欲しいものだ。
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