Chapter 27
その後、朝の6時くらいに目が覚めてしまったので、彼女を起こさないようにベッドから出て、ベランダに出てタバコを吸う。
そして、彼女との出会いから、今までの二人の出来事を色々と思い返して、
思い出し笑いをしてみたり、もっとこうしとけば良かったなんて、あれこれ思い出しては余韻に浸ってみる。
その日が来てしまったら、多分絶対に後を引いてしまうだろうと思っていたけれど、
不思議と気持ちの切り替えが出来ている事に、なんとなく気付く。
これもきっと後腐れが残らないようにと、彼女が色々と考えてくれたおかげだと思う・・・
そんな彼女はあまりにも大人すぎて、やっぱりもう全然敵わない。
そして、気が付くと彼女も起きて来た。
「ハァ~、もう私、壊れちゃうかと思ったよ~(笑)」
「え?もっとロマンチックな事を言ってくださいよ~(苦笑)」
「フフフっ、おはよう・・・」
「おはようございます・・・・」
そして、ドラマのワンシーンみたいに、二人でベランダに出て朝日を眺める。
二人で迎える最後の朝。
でも、朝はまだ少し肌寒くて、彼女はすぐにまたベッドに潜り込んでしまうけれど・・・(苦笑)
彼女につられるように自分も部屋の中に戻ってベッドの横に座る。
「ついに終わっちゃったね・・・」
「そうですね・・・」
「なんか・・・あっという間だったね・・・」
「自分は物凄く長い間一緒にいた気がしてますけど、KTさんとずっと一緒にいられて、ホント楽しかったですよ」
「フフフっ、ホント、色々と楽しかったよね~」
「もう、KTさん、スタジオでは滅茶苦茶クールな人なのに、二人の時は漫才師みたいに面白くて、スタジオにいる時に何度思い出して吹き出しそうになったか分かりませんから(笑)」
「フフっ、それもみんなS君のおかげだって。多分他の人だったらさー、あんな上手くツッコミしてくれないもん(笑)」
「いやいや、いつも期待以上の言葉が出てくるから、どう返そうか、もういつも必死で考えてましたよ(笑)」
「やっぱり二人で漫才やる?(笑)」
「楽しいのは自分達だけですから、絶対売れませんよ(笑)」
「そっかー、残念だなー、せっかくコンビ名考えてたのに(笑)」
「言わなくていいですからね(笑)」
「KTちゃんSちゃん(笑)」
「あっ!言っちゃダメって言ったじゃ無いですか~。しかも二人の名前そのまんまで、しかも思いっきりパクってるし(苦笑)」
「フフフっ、S君のそのツッコミ・・もう、ホント大好き(笑)・・・」
「いやいや、自分も、KTさんのノリの良さが、もう大好きで大好きで・・・(笑)」
「最初は二人とも滅茶苦茶暗かったたもんね~」
「あの時・・・声掛けて誘ってくれて、本当に嬉しかったんですよ・・・」
「フフフっ、実はS君がスタジオに来た時から、私ずっと狙ってたんだよ♪」
「え?そうだったんですか?」
「うん、あ、でも最初からこういう関係を狙ってた訳じゃなくて、なんとなく仲良くなれたらいいなって。」
「あの・・自分も、ずっと・・・KTさんと、仲良くなりたいなって・・」
「S君て歴代アシスタントの中でも飛び抜けてたもんねー、ホント、ビックリしちゃったよ」
「そんな事ないですよ。ただ言われた事をやってただけだし」
「でもさ、ちゃんとその日の撮影記録まで丁寧にノートに書いてたりとかさ、撮影も現像も一度も失敗した事無くて、KN(兄弟子)もイジメ甲斐が無いって感じで、なんかおかしかったなー(笑)。」
「遊びで来てる訳じゃ無いんで、仕事はキッチリやろうって思ってやってただけですよ」
「若い子はなかなかそれが出来ないんだよね~」
「KTさんはいつまであのスタジオにいるつもりなんですか?」
「うーん、私達みたいに、もうそろそろ潮時かな・・とは思ってるけどね。まだ先の事は色々と考え中・・・」
「実家に戻るとか?」
「それも考え中だね・・・」
「引っ越す時は、ちゃんと教えて下さいね。」
「うん・・・」
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