Chapter 24

写真を撮る事が好きで、カメラアシスタントまでやってたくらいなので、

この関係になってから、彼女の写真をずっと撮りたいと思っていたけれど、

いつも彼女に断わられてしまっていた・・・・


「そんなに写真に撮られるのが嫌いなんですか?」


「だって魂を吸い取られるもん」


「いやいやいや、そんなので吸い取られたりとかしませんから(苦笑) 」

「一体いつの時代の人ですか(笑)」


「フフフっ、私の裸の写真でも撮りたいの?(笑)」


「え?・・・・それは(汗)・・・・撮らせてくれるなら撮りたいですけど・・・」


「そんなモデルさん達みたいな身体じゃないから恥ずかしいし、誰にも見せられないでしょ、そんなの」


「あ・・だからモデルさん達より全然素敵だと思ってますけど・・・」

「あの、別に裸とは言ってないので・・むしろ裸じゃ無い方で・・・(苦笑)」


とは言っていたものの、彼女はモデルさん達より魅力的な、本当に写真に収めたくなるくらいの美しいプロポーションだった。


「フフフっ(笑)、でも写真って、捨てない限りいつまでも残っちゃうからさ、いずれ別れるなら、そういうのは残さない方がいいと思うんだよね」


「言いたい事はなんとなく解ります」


「S君から貰った写真なら風景だからそれ程じゃないんだけど、あれでもずっと取っといたらさ、別れてから、S君の事思い出して悲しくなっちゃうじゃん」


「あの・・・いずれ捨ててもらっても全然・・・」


「そんな簡単には捨てたりしないよ♪ 逆に思い出したくなる時もきっとあるから」


「でもさ、例えば私の写真撮っても、S君が将来誰かと付き合ったり結婚したりする時に捨てられちゃうじゃんね」


「結婚しないかも知れないですけど・・・」


「それはダメ。結婚だけは絶対にしとこうよ。独身の方が気楽でいいなんて人もいるけど、絶対にあとで後悔する事になるからね。」


「ハイ・・・それはなんとなくそう思っているので、相手が見つからない限りはまず結婚すると思いますけど・・・」


「だったら私の写真なんか残さない方が絶対いいと思うよ」


「その時に未練無く捨てられればいいけどさ、捨てられなくて、それを奥さんに見つかっちゃったら、その後ずっとギクシャクした関係になっちゃうんだよ」


「モデルさんの写真という事にしとけば大丈夫なんじゃ・・・」


「だとしても、奥さんとしては、そんなの見てあんまりいい気しないと思うよ」

「私だったらイヤだもん、そんなの旦那がいつまでも持ってたら」


「そうですね・・・」


「そんな写真じゃなくて、今の私を心に焼き付けといて欲しいな♪ 」


「ほらほら、本物の私の方がいいでしょっ♪(笑)」


「それはそうですけど(照)・・・あ、ちょっ、ダメですって(汗)」


「えーなんか我慢出来なくなっちゃった♪ いいじゃんいいじゃん♪」


「あ、ちょっと、あ・・(汗)」


と、そんな感じで(汗)、結局彼女の写真は、顔が写っていない写真を数枚くらいしか撮らせて貰えなかった。


ただ、その後、クリスマスの時に行ったフランス料理店で、記念にとお店の人に撮って貰った写真に、唯一彼女の姿が残ってはいるけれど・・・。


また、写真だけでなく、プレゼント等、形として残ってしまう物も彼女は嫌がって、

クリスマスや誕生日なんかの、何かプレゼントをする時もされる時も、必ずお菓子とかの食べ物ばかりだった。


思い出になるものは何も残さないし残させない・・・


別れても後を引かない、引かせない・・・


それが、結婚出来ない自分と付き合う上での、彼女なりのケジメだったのだろう。


ただ、彼女が「今の私を心に焼き付けといて欲しいな」と言っていたように、

目に見える形としては何も残さないけれど、心の中にだけは彼女を残しておいて欲しかったんだと思っている。


なので、彼女の形見的な物は僅かな写真が唯一だけれど、彼女の方も自分の形見といえば、関係が始まった当初にあげた写真しか残っていない。

ただ、彼女が言っていた通り、多分もうそんなのは捨てられてはいるだろうとは思うけれど・・・

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