Chapter 13

この関係が始まって、最初はお互いに無かった筈の恋愛感情が、関係が進んで行くウチにどんどん膨らんで行く気がしていた。

それは自分だけでなく、彼女もまたそうだったと思う。


ただ、その先に進んではいけない・・・そういう関係になってはいけない・・・という思いがそれぞれにあった事もあり、それを表に出しそうになっては、すぐに隠してしまう・・・なんて事を繰り返していた。



「KTさんて、次の恋愛とか結婚って、まだ考えないんですか?」


「うん、まだ全然そんな気にならなくて・・・」


「それに・・・なんか、今って楽しくない?」


「え?・・・・あの、楽しいですけど・・・」


「ん?なんか今、言葉に詰まった?(笑)」


「いえ、楽しいんですけど・・・なんかKTさんに恋愛させないように自分が邪魔をしてるみたいで・・・」


「へーそんな風に考えてくれてたんだ・・・私もS君の邪魔しちゃってるみたいだけどね(笑)」


「あ、別に邪魔では・・・」


「フフフ、でもね、私もこんな事、今しか出来ないから・・・」


「ずーっと親から早く結婚しろなんて言われて来たけど、あの騒動以来、あんまり言われなくなったんだよね」


「それは・・・そうだと思いますけど」


「だから今のうちに好きな事やっておこうかなって・・・」


「こうやって話すのが好きな事なんですか?」


「ん? 違うよ・・・S君と一緒にいるのが好きなの・・・(笑)」


「それは自分のこと口説いてるんですか?(笑)」


「そうだって言ったらどうする?(笑)」


「そこはちゃんと否定して下さいよ(苦笑)」


「フフフ(笑)、でもS君がいいよって言ってくれる限りはずっと会ってたいな」


「それは・・・自分もそうですけど・・・」


「え?そう?・・・なんか、嬉しいな(笑)」


「・・・・(汗)」


「まぁ・・いつかは終わりにしなきゃいけないと思ってるんだけどね・・・」


「それは・・・今はあんまり考えたくないです」


「うん、私も今は考えたくないから、まだ全然考えてない・・(笑)」



いつかは終わりにしなきゃ・・・と、彼女が言った通り、例え友達同士だったとしてもこの関係がいつまでも続かない事だけは解っていたので、その先に踏み込む事は余計出来ない、踏み込んだら終わりを迎えた時にお互いが傷付く事になる・・・


そんな気がして、彼女の事が好きだと思い始めてる反面、それ以上の関係になる事に戸惑いや怖さを感じていた。


そもそも、年齢的にもう結婚まで待った無しの彼女と、仕事も収入も不安定でまだまだ結婚どころでは無い自分とでは、付き合う事なんて出来る筈も無く、そんな二人がこんなに頻繁に会うって事も本来ならすべきでは無いのだ。


ただ、彼女の望む事だったら何でも受け入れてあげたい・・・

彼女が会いたいと思ってくれてるうちは会ってあげたいと思っていたし、もう会わない方がいいと言われたらそれまでと・・・そんな風に思っていた。

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