第28話

校長先生の話は、最後までただ長いだけで退屈だった。



7月末、終業式。


今日を終えれば私はもう二度とこの学校で授業を受けることはない。


あと一ヶ月後の夏休みの終わり、私が向かうのはここではなく、あの世だ。



死ぬと決めてからの日々は、どこか新鮮で、前よりも少しだけ光が増したように思えた。


星が爆発して死ぬ時、地球から見える光が強く見えるのと同じかもしれない。



私はあの日、あの屋上ですでに爆発してしまったんだ。



背後で私に向けられるクラスメイトからの言葉による暴力が聞こえなかったわけではないけれど、それすらも今日が最後だと思うといつもよりは気にならなかった。




終業式を終え、私はクラスの列から離れ、保健室に向かった。


途中三年の列にいたカナメとすれ違い、彼が私に向かって小さく親指を立てるのを見て、思わず笑ってしまうくらいの余裕があった。




保健室のドアを開けると、まだリカちゃんは戻ってきていなかった。



代わりに成美さんが例のパズルで散らかった長机の前に座りながら、いつものように本を読んでいた。


もしかしたら、彼女に会うのもこれで最後になるかもしれない。


そう思ったが、何も口はせず彼女と向かい合って腰をかけた。

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