第29話
そこに立っていたのが、 “浅岡将暉”だったからだ。
高校3年の最後に別れてから6年近く音信不通になっていた元カレが、今目の前に立っている。
私は声も出せずに生唾を飲んだ。
将暉は最後に別れた頃とあまり変わっておらず、ちっとも年取ったように見えなかった。
・・・そうではないのだ。
目の前の彼は白いシャツにえんじ色の縞模様のネクタイ、ネイビーのスボン、かかとを潰したローファーを履いていた。
それは私とは別の、彼の通っていた高校の制服姿であり、もしここが本当に2009年だとするのならば、ここにいる将暉は高校3年生の頃の彼だという事になる。
そこで私はようやくさっき感じたデジャブを理解した。
私は前にもこうして彼の携帯を拾い、そこで初めて私たちは出会ったのだ。
2009年4月16日、ここは私と将暉が出会った日の過去だった。
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