第28話

「・・・もしもし?」


「あーよかった!その携帯、僕のなんですけど、どこで拾いました?」


「あ、えっと今迎賓館の前で拾って」


「やっぱり!今公衆電話からかけていて。あのすみません、今時間ありますか?」


「え?」


「今から5分くらいでそこまで行くんで、それまでそこにいてくれませんか?」


「・・・いいですけど」


「よかった、じゃあすぐ行きます!」



電話が切れ、私は再びその携帯に目を落としながら、何か違和感のようなものを感じていた。


違和感ではない、前にも同じような事があったような、そんなまるでデジャブ的感覚だ。



ふいに、その携帯についていたストラップに目を留めた。


グリーンの石と透明な石とが交互に並んだパワーストーンのストラップだった。



なんとなく見覚えがあるのだが、それがなんだったのか思い出せない。


しばらくの間自分が過去にいる事も忘れてその事ばかりを考えていた。




そしてそのストラップの記憶が頭の中でハッとリンクした瞬間、



「すみません!」



と声をかけられ、振り返った私は心臓が止まるほどの驚きに立ち尽くした

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