第6話

母の小言を聞いていると、そろそろ独り立ちしたい気持ちにもなるが、実家である都心のこの場所はどこにいくにも不便がなく、あえて高い家賃を払って出て行こうというような気にはなかなかならないのが本音だった。



麻央が離婚し実家に戻ってきたのも、ここに比べると交通の便の悪い嫁ぎ先にうんざりしたからではないかと思ってしまうほどだ。



「あ、そうそう。これ、あんたに届いてたわよ」



そう言って母は、私に2通の手紙を寄越してきた。



受け取った1枚目の白い封筒の裏を確認すると、送り主は永田榛野ながたはるの


高校時代の同級生だった。



表には“WEDDING INVITATION”と書かれている。


この間久しぶりに彼女から電話があり、なにかと思えば結婚するという内容だった。




榛野に最後にあったのは大学1年の頃だったから、もう4年近く会っていない事になる。


それまでは本当に仲がよく、高校の頃なんかはいつもトイレまで一緒になって行動していたくらいだった。

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