第5話

ドアをノックする音が聞こえて、私は枕に顔を埋めた。



絵里えり、帰ってきたの?」



返事もしていないのに母が勝手に部屋に入ってきて、



「なにこれ、ゴミ箱ひっくり返ってるじゃない」と大げさに声を上げた。



「後で片付けるよ」


「部屋もう少し片付けなさいよ。忙しいのはわかるけどいくらなんでもこれじゃあ」


「やるってば!」



私は苛立ちながらも起き上がり、さっきひっくり返してしまったゴミ箱を片付ける。



「全く、いつになったらあんたも麻央まおも実家出て行くんだか」




麻央とは私の2つ年下の妹の事だ。


麻央は大学に入ってすぐ同級生とできちゃった結婚をしたものの、1年前に離婚して今は元旦那と住んでいた千葉から実家に戻り、両親の協力のもと一人娘を育てている。

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