第20話

「そう、だとは僕も思うけど……ミヤに触れたいって思えば思うほど、大事にしたいって気持ちも強く出てきて……触れちゃいけないような気がしてくるんだよね」



「イブくんならいいのに」



「ミヤにそんな風に言ってもらえるのは本当に嬉しいんだけどね。でも……僕がミヤを傷付けないって自信が持てるようになるまで、もう少し待って欲しい」



まだ中学二年生になったばかりの彼に、それを求めるのはまだ早いのかもしれない、とは確かに思うが。



それでもやっぱり、彼からの愛情表現が減っていくのはとても悲しい。



「……キスまでしてくれなくなるなんて、嫌われちゃったのかと思って不安になるわ」



「それは、ごめん……ミヤに触れると、段々と我慢出来る自信がなくなってきて」



ふいっと都古から顔を背けた伊吹の表情は見えなくなったが、髪の隙間から見える耳が先まで真っ赤になっているのは分かった。



「……イブくん」



伊吹の隣に静かに移動した都古が、彼の頬にそっと手を添えて、



「!」



彼の体が反射的にびくっと強ばる。



「大好きなイブくんに触れられて、傷付けられたなんて思うわけないわ」



「ミヤ……!」



伊吹は自分の頬に添えられた都古の手を掴むとそのままラグの上で彼女を押し倒して、



「んっ………」



約一ヶ月ぶりに落とした口付けは、彼にしては少し激しめのものだった。

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