第18話

自分の目を真っ直ぐに見つめてそんなことを言ってくれる彼に、けれども都古は悲しそうな表情を浮かべる。



「イブくん、あのね――」



「ミヤ。僕、絶対に他の人に目移りなんてしないから。何があっても、それだけは信じて欲しい」



“何があっても”とまで言ってしまう彼に、都古は何だか違和感のような、胸騒ぎのようなものを感じたのだが、



「何言ってるの。今までイブくんのこと疑ったことなんてないわよ」



彼の目を真っ直ぐに見上げ、力強く頷いて見せた。



あとから考えてみると、彼は過去の経験やトラウマからそんなことを言ったのかもしれないが――



この時の都古はそこまで深く考えず、後々になって自分の考えの甘さを後悔することになるのだった。

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