第17話

「イブくん、格好いいもんね。女子から人気あるの分かるなぁ」



伊吹よりも年上の都古から見てもそう思うのだから、きっと同級生や後輩から見ると余計にそう感じるのだろう。



もちろん、そのことに対して嫉妬や不安の感情を抱かないと言えば嘘になるけれど、



「イブくんのことを色眼鏡で見ないで接してくれる人がいたら、相手が男子とか女子とか関係なく、イブくんが仲良くなりたいって思えたら仲良くしていいんだからね」



都古に誤解されたくないからと、無理して女友達と距離を置くようなことは、彼にはして欲しくない。



「本当はいるんじゃないかな? イブくんの内面の魅力に気付いて、きちんと仲間として接してくれる人」



彼が周囲の人を手当り次第に突き放すことさえしなければ、すぐにでも友達が出来そうだ。



伊吹を励ますべく、都古は隣を歩く彼に向かってふわりと優しく微笑んだ。



その笑顔を熱っぽい眼差しで見つめていた伊吹は、ずり落ちかけた通学鞄の取っ手を肩にかけ直す。



「うん、いるよ。ミヤっていうんだけどね、見た目も中身も、本当に物凄く可愛い人なんだ」



それはそれは嬉しそうにニッコリと微笑んで大きく頷く。



「……イブくん」



「僕は、ミヤさえいてくれればいいかなって本気で思ってるよ」

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