第14話

(女友達だとミヤの誤解を招きそうだし、どうせなら男友達が欲しいな)



一人ぼっちで過ごすのが当たり前だった伊吹に友達のつくり方なんて分からないが、



(とりあえず、話をする時も聞く時も、きちんと相手の目を見るようにしよう)



所謂いわゆるコミュ障な伊吹にとって、それはとても大きな決断だ。



幼い頃にいじめっ子たちから“目の色が気持ち悪い”と言われて以来、家族と都古、依央くらいとしかまともに目を合わせることはしなくなったから。



このままではダメだと、随分と前から自覚はしていたし、



(僕に友達が出来たら……ミヤならきっと、自分のことのように喜んでくれるよね)



彼女が安心して高校を卒業出来るよう、自力で友達をつくりたい。



(自分から話しかけ……るのって勇気いるなぁ)



冷たく突き放そうとする都古に声をかけまくる方が勇気が必要だったはずなのに、その自覚が全くない伊吹は、ふと顔を上げた。



教室内をキョロキョロと見渡すと、昨年からの仲良しなのか、男子も女子も既にいくつかのグループが出来ている。



伊吹が周囲に視線をやっただけで女子生徒たちはピタリと動きを止め、一斉に彼の方を振り向くのだが、



(いやいや、そういうのは求めてないし)



変に期待されても困るだけなので、伊吹は慌てて視線を自分の机の上へ。

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