第9話
唇を噛み締め、俯く都古に気付いた伊吹が、
「ミヤ?」
彼女の手を包み込むように握っていた手を一旦離すと、お互いの指を絡めるようにしてきゅっと優しく握り直す。
「僕はミヤにしか興味ないから、心配しないでね?」
「え、あ……」
嫉妬していたことを彼に気付かれていたことと、人前で堂々と恋人繋ぎをしてきた彼に、都古の頬が赤く染まる。
少し前まで、彼は人前で手を繋ぐことすら恥ずかしがってあまりしてくれなかったのに。
彼の部屋で二人きりの時にばかり繋ぐのに、けれど都古自身もそれに慣れてしまっていたので、こうして人目を気にせずにされてしまうと、戸惑うことしか出来ない。
「イブくん、お願い。もうこれ以上格好良くならないで」
思わず都古の心の声がそのまま口に出てしまい、
「えぇっ……可愛い。もし今二人きりだったら、ミヤのこと押し倒してキスしてたよ」
伊吹も自身の気持ちに素直な台詞を、満面の笑みを浮かべて零す。
「なっ……! 」
茹でダコのように真っ赤になった顔で口をパクパクさせる都古の手から、
「はいはい。ここ学校だからね、お家帰ってからやってね」
見かねた風香が伊吹の手を掴んで引き離した。
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