第30話
「あの、俺……女の子に好きって言われたことなかったから……」
「私は前から言ってるのに」
ぷぅっと頬を膨らませる都古の可愛さに、俊はますますたじたじになる。
「や、だから……こういう時、どうすればいいのか分からなくて」
「俊さんにとって、私の気持ちは迷惑?」
普段から俊に対して押し気味の姿勢だったが、今日の都古はいつにも増して積極的で、
「……こんなに可愛い子にそんな風に言われたら、そりゃあ凄く嬉しいよ」
いつもなら、きちんと突っぱねることが出来ていた俊でさえも、今日は何故か冷たく出来ない。
――普段でも、都古に対して冷たく接したことなんて一度もなかったけれど。
「じゃあ、私を俊さんの彼女にして!」
都古の渾身のひと押しに、
「相原。そろそろ男を見せろ」
いつの間にか戻ってきていた右京が、ソファーの背もたれの向こう側、俊のすぐ後ろに立っていて、
「うわぁぁ!?」
驚いた俊は、盛大に悲鳴を上げた。
「な、な……?」
胸に手を当ててバクバクする心臓を押さえている俊を見かねた右京が、
「好きかどうかは分からなくても、都古のことが嫌いじゃないなら試しに付き合ってみたっていいだろ」
出すつもりの全くなかった助け舟を出すことに。
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