第3話

スマホの着信音が鳴り響いたせいで、向こうの世界にいた私は現実の世界へ引きずり戻された。



懐かしい夢を見た。あの頃はこんな残酷な未来がくるなんて思いもしなかった。




健の選んだマンションを購入していたら未来は変わっていたのだろうか。後悔してももう遅い。後悔したところで現実は何も変わらない。





失ったモノは、もう二度と戻ってはこないのだから―――――――








「イッチー、起きた?」




「先輩………」




「午後五時だよ。全然起きてこないから焦ったわ。電話鳴りっぱなしだった。」




「ここ何処ですか…?私、何も覚えてないんです…。先輩と歩道橋で会ったとこまでは覚えてるんだけど……」

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