第52話

「─… か、叶夢が嫌い?」


「向こうが俺を嫌ってんだろ、

なぁ千世、もし俺がアイツとの関係切れって

言ったらどうする?」



息が詰まるような緊張に拓海を見つめ返すだけで

体がこわばる。


「それは、…出来ない。」


感情の読み取れない拓海の表情が怖くて目を逸らしたくなったけど、勝手なことを言ってるのは私の方で逃げる事も出来ない。


「は───…」


ため息、…


「拓海…」 



ソファの背にもたれ、髪をかき上げると私を見て苦笑いを浮かべた。


「仕方ねぇな、だけど認めたわけじゃないって

ことだけは覚えといて。

俺もアイツ嫌いだし、すっげぇ妬いてるから今夜は覚悟しといてな?」


「わ、かった…」


「何で赤くなってんの?期待してる?」



ハッと両頬を隠しブンブン首を横に振ると

いつものように優しく笑いながら私の手を取り、指にキスした。



心臓、もたないよ…

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