第44話

結局、話せないまま…



私の膝に頭を乗せ、映画を見る拓海の髪を撫でると心地良さそうに目を閉じた。


字幕だけど、それは私のためであって拓海は英語を耳で聞いて復唱している。


「寝そう。」


「いいよ?」


「ダメだろ、せっかく一緒にいんのに。」


体を起こすと私の肩を引き寄せ、頬に指を添えて目を合わせた。

唇を重ねると流れるように服が脱がされ、鼓動が一気に早くなる。



最初の頃、私の様子を見ながら加減してくれていたのが今では求められる時間が長くなり、拓海の余裕のない顔も見れるようになった。


恥ずかしいこともされるけど、…

抵抗しても無駄だと時間をかけて教えられ、

今じゃもうされるがままだ。



「なに?最中に考えごと?

余裕じゃん。」


首を横に振って否定しても口元で笑みを作り、

いきなり深く腰を沈められ。



「あぁ……っ!」


「可愛い声で啼くね。頭ん中、俺でいっぱいになったろ? ……もっと声聞かしてよ。」


「っ、…あっ、」



逃げたくなるほどの強い快楽に甘い声をこぼしながら背中に手を回すと、拓海と同時に熱が弾けた。



震える身体に熱い吐息が触れ、胸元に紅い痕を残して身体を離すと私を腕の中へ抱き寄せる。



「─… 千世、千世といると生きてていいって思える、もうずっと手離せそうにない。」



眠りに落ちる狭間で聞こえてきた声が現実なのかどうかわからなかったけど、拓海の背中を優しくさすった。

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