第31話

川辺に降りて覗き見る水は、ビー玉の中を小魚が泳いでいるように綺麗でずっと見てられる。




─…バシャッ


「拓海!入るの⁈」


「やっぱ夏でも冷てぇ〰︎」


急いで靴を脱き、私も同じように水に足をつける。


「ヒャッ…」


「だから冷たいって言ったろ?」




子どものように無邪気な笑顔で遊ぶ拓海が可愛いくて、つい一緒にはしゃぎすぎてしまった。


くしゃみが出る私をヒョイと担ぎ、川から上がると靴を片手にそのまま旅館へ戻っていく。


「拓海、降ろして…、さすがに恥ずかしいよ…」


「いーじゃん、旅の恥はかき捨てって言うだろ?」


「いや、でも親戚でしょ…」



結局、そのまま部屋まで戻るとなぜかベッドに

押し倒されてて。


「あの…、」


頬や首を啄む拓海の肩を押すけど「ん?」と言うだけで止まらない。


「あ、汗かいてるからっ」


「それが?」


シャツを持ち上げると胸の谷間や脇腹を舐めた。


「っ!!た、たくみ!!…変態だよっ」


「なんとでも。」


そのまま続ける拓海に切ない吐息が漏れ出した頃、ドアをノックする音が聞こえて。



チッと舌打ちすると唇にキスを落とし、私から離れた。

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