第29話

7月に入ってすぐ拓海に誘われ初めて旅行にきた。


中学生ぶりかも…

しかも家族以外なんて、


って、すっごい山奥なんですけど。



「拓海…、ここに宿があるの?」


「疲れたよなぁ、バスの山道。

迎えが来てるはず…」



周りを見渡すとワンボックスから降りて来た男の人に手を挙げ、私の方を見てニヤッと笑った。




「星と月の宿…」


車の中で渡されたパンフレットの文字をなぞり、拓海のほうを見る。


「そー、辺境の地でびっくりしたろ?

俺の親戚がやってる。」


「え"⁈」


「拓海、彼女に言ってなかったのか?

一番奥の部屋、用意してあるけど変なことするなよ?」


「変なことって?」


「拓海〰︎〰︎

千世ちゃん、もしコイツに何か不都合があったらすぐ言ってね。」 


「不都合ってなんだよ⁈」


ふたりの会話を聞きながら恥ずかしすぎて

「はい…」としか答えられなかったけど、これから始まる拓海との時間にワクワクでいっぱいだった。

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