第22話

恋をすると見える景色まで変わってくるものだろうか…


メイクも服も、

誰かに可愛いと思ってもらいたくて選ぶなんて初めてだし、ただ歩くだけのいつもと同じ道も梅雨のじめっとするこの感じさえも好きになれる。

紫陽花は相変わらずかわいいけど…



『千世、まだ起きてるか?』


拓海からの連絡に『うん』と返してすぐ届いた

『そと』の文字にベランダから下を見た。


『コンビニ行かね?』


頷き、上を羽織ると急いで降りていく。



「バイト終わり?」


「そ、会いたくなった。」


こうやって合間にさいてくれる時間が自分は拓海の特別なんだと感じさせてくれる。


「嬉しそうな顔しちゃって。」



歩きながら自然と繋がれる手をキュッと握りながら店へ入るとプリンを手に取った。


「ん、」と出されたカゴに「自分で出すよ?」と言うけど手から奪われたプリンは缶ビールの横に慎ましく並び会計される。



「ありがとう…」

「いいえ。」とだけ答え、戻る深夜の道は静かで

小さな声でも響くような気がして。


まるで知らない街を歩いてるみたいで少し怖くなった。

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