3.
第20話
それからしばらくして、以前の関係に戻りつつあった頃、友人からお祭りへ誘われた。
地元じゃないお祭りは初めてでワクワクしながら
向かった待ち合わせ場所は、既に人でごった返していて。
「ちせー!こっちこっち!」
手を振り私を呼ぶ友達の姿に、振り返そうと上げた腕を途中で止めた。
……拓海、
「黙っててごめん!千世。
二人じゃ恥ずかしくて四人でってことにしたの。
お願い!協力して!」
こそっと耳打ちされた内容が可愛すぎて怒る気にもなれなかった。
先を行く二人の後ろから拓海と並んで歩くけど
黙ったまま気まずい空気に俯きがちになり…
「あ、見失ったかも。」
「え?うそ、はぐれた⁈ 」
キョロキョロ見渡すけど友達の姿はなくスマホを取り出そうとした手が掴まれると「こっちにいたわ。」と反対方向へ進んでいく。
人気のない神社の境内までくると手が離され、
私の方へ向き直した。
「ほ、ほんとにこっち?」
「いんや、うそ。
見失ったのも嘘だし、なんなら逆方向にきた。
祭りも千世が来るならって条件つけたし、俺らが消えても連絡するなって言った。」
「なな、なんでそんなこと…」
「千世とふたりになりたかったから、
ずっと避けられてて話すチャンスもくれねぇじゃん。」
「だからあの事ならもういいよ。」
「いいから聞けって、」
拓海の真剣な声に合わせられずにいた視線を彼へ向けた。
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