第18話

えっ、


ゆっくり顔が離れ、拓海と目が合うけど混乱のあまり何も言葉が出ない。


「あ、やべっ、 何もしないつったのに、つい…

ごめん。」



ついって、…



「帰る。」


「え、ああ、送るわ。」


「いい、ひとりで帰れるから。」


「待てって、」




部屋から出ようとして、捕まれた腕を振り払うと

急いで階段を降りた。

後ろから聞こえる声に耳を塞ぎ、とにかく身を隠したくて。


少し走っただけで息が切れる体を物影に隠すと

呼吸を整え、拓海の私を探す声が消えるのを待った。



キス、初めてだったのに。

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