第17話

拓海の部屋はシンプルだけど変わった物が雑多に置かれ、異国の空気をまとっていて。


「テキトーに座って。」


「あ、うん。」



ローテーブルの上にある可愛い刺繍のマスコットを手に取り、見ているとペットボトルが手渡された。


「冷蔵庫、水しかなかった。それ気に入ったならやるよ。」


「え"⁈ いいよ!」


「ネパールで売り付けられたもんだから、

大したもんじゃないけどどうぞ。」


「……じゃあ遠慮なく、ありがとう。」



クマ?ネコ?

よくわからない動物だけど何だか愛しい感じ…


「さて、始めるか。」



拓海の言う通り気分転換のおかげか、さっきより順調に進み21時前には仕上がった。




「はあああ〜」


二人一緒に安堵の息を吐くと顔を見合わせ笑う。


「最初は不安だったけど、今は拓海とペアで

良かったと思ってるよ。いろいろありがとね。」


「確かに嫌そうだったもんなぁ、傷つくわ…」


「ごめんね?」と出来るだけ笑顔で返す私の目の前に突然、拓海の長い睫毛が見えて。




一瞬、何が起こったのかわからなかったけど唇に触れる柔らかい感触にそれがキスだと気づいた。

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