第13話

一緒に資料を作るなんて不安しかなかったけど、

彼は私が想像してたよりずっと真剣に取り組んでくれて。

それに視野が広く国際問題にも長けていた。



「拓海でいいよ、俺も千世って呼んでいい?」


時間を合わせて会っていた4週目、私にそう言って笑うとパソコンを開く。


「うん、」


「じゃあ千世、ここの部分だけど…」



苦手だなという気持ちは徐々に薄れていくけど、いつもたくさんの人に囲まれる彼は近寄りがたく遠くに感じる。



なのになぜか目が離せなくて、

胸の奥の方がチリッとくすぶり、意味もなく泣きたくなった。

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