第2話

背が高く、顔も頭も良くて、センスも良い。

何でもスマートにこなしてしまう彼を見ない女の子はいない。性格は難ありだけど…


何で私なんかの傍にずっといるのか不思議でならない。



「行こ、」


私の手を取ると指を絡め、スタスタと歩き出す。

黒のSUVの前で助手席のドアが開けられると当たり前のようにブランケットが渡された。


「ありがとう…」


「いつものとこでいい?」


「うん、久しぶりだしマスターにも会いたい。」



仕事のことや次の休みの話しをしているうちに

『liqueur』に着いた。

昼はCafeで夜はBARになるここは私達が親友だった頃から来てるホッとする場所だ。


チリンとドアベルが鳴り、カウンターにいる男性が顔を上げると優しく微笑みかけてくれる。

細身で髭が似合うイケオジ。


「二人ともいらっしゃい、久しぶりだね。

忙しかった?」


「はい、ようやく来れました。」


「マスター、奥のソファ席いい?

俺は車だからノンアルで、千世は飲む?」


「あ、うん。じゃあ一杯だけ…」


「りょーかい、今日のおすすめは生ハムのパスタだよ。」


「じゃ、それも、あとは適当につまめるの。」



オーダーを済ませ、真っ白な広いソファ席のカドに斜め向かいに座ると、ちょうど彼のスマホが鳴った。


画面を見た途端、眉をひそめ不快感をあらわにする。


「悪い、病院からだ。」


「ん、気にしないで。」



国立病院の薬剤部に勤務する叶夢が話す内容は

難しすぎていつもよく分からないけど、今日のはシフトの件だったみたいで、わりとすぐに終わった。

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